付則D-チーム・レース規則

チーム・レースは、この付則により変更された『セーリング競技規則』に基づき行われなければならない。アンパイアを用いる場合には、帆走指示書にそのことを記載しなければならない。

D1     競技規則の変更

D1.1  定義と第2章の規則の変更

            (a) 定義『ゾーン』の距離を2艇身に変更する。

            (b) 規則18.2(b)の2番目の文を次のように変更する。「艇がゾーンに到達するときにクリア・アヘッドの場合、またはその後他艇が風位を超えたことによりクリア・アヘッドである場合には、その時点でクリア・アスターン艇は、それ以降その艇にマークルームを与えなければならない。」

            (c) 規則18.4を削除する。

            (d) 新規則23.3を追加する。

  「フィニッシュした艇は、フィニッシュしていない艇に対して妨害する行動をとってはならない。」

            (e)新規則23.4を追加する。「異なるレースの艇が出会った場合、いずれの艇のコース変更も、規則に従おうとするか、または自艇のレースに勝とうとするものでなければならない。」

D1.2  その他追加の規則

            (a) インシデントが同じチームの艇間で、接触がなかった場合、第2章の規則違反に対するペナルティーはないものとする。

            (b) 規則41に追加する。

  「ただし、電子的な通信手段を使わなければ、自チームの他艇からの援助を受けることができる。」

            (c)艇は、自チームの他艇から受けた損傷または傷害に基づいて救済を受ける資格はない。

            (d) 規則45の最初の文を削除する。

D2     抗議とペナルティー

D2.1  抗議と免罪

            (a) 規則60.1(a)を次のように変更する。「他艇を抗議する。ただし自らがそのインシデントに関与したか、相手チームのメンバー同士の接触を伴うインシデントでない限り、第2章の違反を申し立てての抗議はできない。」

            (b) 規則61.1(a)の3番目の文および61.1 (a)(2)の全文を削除する。

            (c)レース中、第2章の規則(損傷又は障害を起こした場合の規則14を除く)、または規則42に違反したかもしれない艇は、規則44.2に基づき1回転ペナルティーを履行することができる。

            (d) 帆走指示書に、規則D2.4 (b) はすべての抗議に適用すると記載することができる。

D2.2  アンパイア制のレース

            アンパイア制で行うレースは、帆走指示書中か、または予告信号以前にU旗を掲揚するかのいずれかにより、明示しなければならない。

            (a) 艇が第2章の規則に基づき、または規則31、42もしくは44に基づき抗議する場合、審問を受ける資格はない。その代わりに、抗議された艇が、規則に違反したと認めることも、適切なペナルティーを履行することもしない場合、抗議艇は、はっきりと目立つように黄色旗を掲揚し「アンパイア」と声をかけることにより、判定を求めることができる。

            (b) アンパイアは、次のように判定の信号を発しなければならない。

            (1) 緑色と白色の旗または緑色旗は、「ペナルティーを課さない。」ことを意味する。

            (2) 赤色旗は、「1艇または複数の艇にペナルティーを課す」ことを意味する。アンパイアは、ペナルティーを課すそれぞれの艇を特定するために、声をかけるか、または信号を発しなければならない。

            (c)規則D2.2(b)(2)によるペナルティーを課せられた艇は規則44.2に基づく2回転ペナルティーを履行しなければならない。

            (d) アンパイアが発議するペナルティー

            アンパイアは次のいずれかの場合、他艇からの抗議がなくても処置をすることができる。

            (1) 艇が、規則31、42、または自チームの他艇との接触を伴う第2章の規則違反をしたが、ペナルティーを履行しない場合。

            (2) 艇が規則D2.2(c)に基づくペナルティーを履行しない場合。

            (3) 艇がスポーツマンシップの違反を犯した場合。

            (4) 艇が規則14に違反し、損傷または傷害が引き起こされたかもしれない場合。

            (5) 艇またはそのチームがペナルティーを履行したにもかかわらず有利となる場合。

            アンパイアは、赤色旗を掲揚し、その艇に声を掛けて合図することにより、1回転につき1回のタックと1回のジャイブを含む1回転以上のペナルティーを課すことが出来る。または黒色旗を掲揚して合図することによりプロテスト委員会にそのインシデントを報告することが出来る。また、その両方を行うことも出来る。

D2.3  アンパイア制を用いる場合の選択規則

            これらの規則は、帆走指示書に記載された場合のみ適用する。

            (a)  単一旗抗議手順

            規則D2.2(a)を、次のように置き替える。

            艇が、第2章の規則、または規則31、42、44に基づき抗議する場合、審問を受ける資格はない。代わりに、そのインシデントに関与した艇は規則違反を速やかに認めて、適切なペナルティーを履行することができる。どの艇もペナルティーを履行しない場合には、アンパイアは、規則違反した艇があったかどうかを判定し、規則D2.2(b)に従って判定の信号を発しなければならない。

            (b)  限定アンパイア制でのレース

            規則D2.2を適用する。ただし、ある艇が規則D2.2(a)に従っているときに 判定の信号がない場合、またはアンパイアが判定するには十分な事実を認識していないとして黄色旗を掲揚した場合、抗議艇は、審問を受ける資格を得る。

D2.4  アンパイア制のレースでの抗議と救済に関する追加規則

            (a) レース委員会とプロテスト委員会はどちらも規則D2.2(a)に記載された規則の違反に対して艇を抗議することはできない。ただし、いかなる情報源によるものでも、損傷または傷害が疑われる報告を受けた場合、プロテスト委員会は規則14に基づいて艇を抗議することができる。

            (b)抗議および救済の要求は書面である必要はない。プロテスト委員会は、適切と考える方法で証言を得ることができ、またその判決を口頭で伝えることができる。

            (c) アンパイアの判定または処置したこと、処置しなかったことから生ずる、艇による救済要求または上告はできない。プロテスト委員会は、アンパイア・ボートを含む運営艇が競技している艇を甚だしく妨害したかも知れないと考えられる場合、救済を与えることを考慮すると決定できる。

D3     レースの得点

D3.1  (a) レースをフィニッシュしたそれぞれの艇には、規則28.1に従っていたか否かにかかわらず、フィニッシュ順位に等しい得点が記録される。その他のすべての艇には、レースに参加する資格がある艇数に等しい得点が記録される。

            (b)さらに、艇の得点は次のとおり加えられるものとする。

  

違反した規則

ペナルティーの加点

結果的に艇またはそのチームが有利を得た場合の規則28.1

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レース中に他の規則に違反し、ペナルティーを履行しなかった

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            (c)審問を行った後、プロテスト委員会は、次のようにペナルティーを課すことができる。

            (1) 艇が規則違反した結果、そのチームが有利となった場合、その艇の得点を増やすことができる。

               (2)規則1、規則2、または損傷あるいは傷害を伴う規則14に違反した場合、またはレース中以外に規則に違反した場合、その艇のチームに0.5以上のペナルティーを課すことができる。あるいはペナルティーを課さないことができる。

            (d) 合計得点の少ない方のチームを、そのレースの勝ちとする。合計得点が等しい場合、1位をとらなかったチームを勝ちとする。

D3.2 一方のチームの全艇がフィニッシュしたか、リタイアしたか、またはスタートしなかった場合、レース委員会はレースを止めることができる。その時レース中の相手チームの艇には、フィニッシュした場合に受けるであろう得点を与えるものとする。

D4   シリーズの得点

D4.12つ以上のチームがシリーズで競技する場合、勝者は、レースの勝ち数の最も多いチームとしなければならない。その他のチームは、レースの勝ち数の順に順位をつけるものとする。

D4.2 必要な場合、完了したシリーズでのタイは、次の順序で解くものとする。

            (a) タイとなったチームが対戦したときに勝ったレースの数

            (b) タイとなったチームが対戦したときに記録された得点

            (c) 2チームでタイがまだ残っている場合には、その2チーム間の最終レース

            (d) 共通の対戦相手とのすべてのレースでの合計得点

            (e) 可能な限り決定戦、さもなければ抽選

            上記によりタイが部分的に解けた場合には、残っているタイは再度規則D4.2 (a) から始めて解かなければならない。

D4.3         シリーズが完了していない場合には、完了したラウンドの結果に従って順位をつけるものとし、タイは、完了しなかったラウンドにおけるタイのチーム間のレース結果を、可能な限り用いて解くものとする。ラウンドが1つも完了していない場合には、チームはレースの勝率の順に順位をつけられるものとする。その他のタイは、規則D4.2に規定されたとおりに解かれなければならない。

D5  艇を主催団体が提供した場合の破損

D5.1 提供された艇が破損を受け、結果として救済を求める場合には、最初の妥当な機会に赤色旗を掲揚し、可能な場合には、レースを続けなければならない。レース委員会は規則D5.2、D5.3に規定されたとおりに救済の判定をしなければならない。

D5.2 レース委員会は、艇のフィニッシュ順位が著しく悪くなり、その破損は乗員の過失ではなく、また同じ状況で、相当有能な乗員でも破損を避けることができなかったであろうと判断した場合、できる限り公平な決定を行わなければならない。そのレースを再レースとすること、または艇のフィニッシュ順位が予想できる場合、その順位の得点を与えることができる。破損した時点での順位に関して疑いがある場合、疑いはその艇に不利になるように解決されなければならない。

D5.3 破損が欠陥のある装備または対戦相手の規則違反により起こった場合、その破損は通常、乗員の過失であると判断してはならない。ただし、不注意な操作、転覆または同じチームの艇の違反により起こった破損は、乗員の過失と判断しなければならない。乗員の過失について疑いのある場合は、その艇に有利になるように解決されなければならない。